MoonCupRoof

劇作家・演出家、萩谷至史の日々のあれこれ、や、短い作品たち

Storyteller in art Vol.10「どこかの、だれかの、物語の始まり」with 佐伯佑佳

Storyteller in art 10回はアクトレスシンガーの佐伯佑佳さんです。

 

ライブハウスを中心に、「歌と芝居のエンターテイメントshow」をステージテーマとしたパフォーマンス活動をする佑佳さん。舞台役者としての経験がベースにあるステージは、まさに「魅せる」ステージです。バリエーション豊かな楽曲と、朗読や身体表現を取り入れたパフォーマンスは、観ていて飽きる事がありません。

 

今回は、そんなバリエーション豊かな曲の中から、Forestという曲にインスピレーションを受けて物語を書きました。

斜字になっているところは、歌詞を引用させていただきました。

 

ではでは、お楽しみください。

 

 

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聞いたのは光と闇の調べ

ひたむきに生き急ぐ者たちよ

行く先も知らずに

 

 

気がつくと、世界は白かった。

 

目を開けたとき、私はベッドに仰向けになっていた。

真っ白な天井が、さも当たり前のようにそこにあった。

 

小さい頃、白というのは何も色が付いていない「無」の色だと思っていた。

しかし、実際には白は「無」の色ではなく、光の三原色である赤・青・緑が全部重なったときの色らしい。私は、今年、二十七になって初めて、その事を知った。光の世界では、白は「無」ではなく「全て」だったのだ。

 

さて、

そんな抽象的な思考をぐるぐるとさせているうちに、段々頭が働くようになってきた。

そして、ようやく、私の生死に関わってくる疑問について、思考を割くことができるようになった。

 

「ここは、いったいどこだろう」

 

私は、ベッドから身体を起こして周囲を見回した。

白いのは天井だけではなかった。周囲を囲む壁も白い。

六畳くらいの場所に、このベッドと、木でできた古いクローゼット、小さな棚、ベッドの反対側には出窓がある。

 

私は立ち上がり、窓から外を見た。どうやら、この場所は、建物の2階部分にあるらしい。

真下にはこの建物の庭、だろうか。小さな花壇と家庭菜園、そして、物干竿が見える。

敷地には柵が巡らしてあり、その向こうには草原が広がっている。

さらに少し向こうには鬱蒼とした森がある。

見渡す限り、ここ以外に人が住んでいそうな場所は無かった。

 

それは、少なくとも、私の記憶には存在していない景色だった。

 

、、、

 

「おはよう」

振り向くと、一人の女の人がドアの前に立ったまま、真っ黒な瞳でじっと私を見ていた。

三十代前半くらいだろうか。その人は、次の私の言葉を待っているようだった。

私も聞きたい事がたくさんあった。しかし、頭の中で、一気に質問が吹き出してきたため、どれから聞いたらいいのか分からなくなっていた。

 

女の人は、私がしどろもどろしているのを見て

「大丈夫?」

と、苦笑した。

「大丈夫?なにか、悪いんですか?私?」

「私は別に医者じゃないから、あんたの身体に関しては分からないよ」

 

私は、なぜここで眠っていたのかを全く覚えていなかった。

しかし、私の身体に何も起こっていなければ、こんなことにはなっていないはずだ。

「倒れてたの」

「え?」

「森の向こうで。ウチの住人が見つけてきてさ、運んできた。何で倒れてたかまでは分からないな」

「住人?」

「一緒に住んでる人。ハウスメイト」

どうやら、ここは、シェアハウスのような場所らしい。

「下おいでよ。共同のリビングがあるから」

「ここ、どこなんですか?」

「ここはね、なんて言うか、施設?みたいな」

「施設?」

「あんたみたいな人が、共同生活してんの」

「あんたみたい?」

森の向こうで倒れている人、と、いうのが、「あんたみたいな人」ならば、そんな人は世の中にそんなにいるとは思えない。

「まあ、とりあえず、来てみたら分かるよ。昼だから結構みんな外出てるんだけど……まあ、気が向いたらでいいや。私は洗濯を干してくる……あ」

ドアの方を向いてドアノブに手をかけたその人は、振り返って、私の方に手を差し出した。

「私、アカリっていうの、よろしく」

「ユキ、です」

私は、アカリさんの差し出された手を握った。

アカリさんは、しっかりと私の手を握ると「またね」と言って、外に出て行った。

 

 

私は再び一人になった。

改めて、何があったかを思い出そうとする。しかし、頭の中の記憶は断片的で、何一つ確信が持てない。

アルコールの味とタバコの煙

多分、持っている記憶の中で、一番最新のものと思われるものは、これだった。

周囲の風景までは思い出せなかったけれど……確か、私はカウンターに座っていて……バーにいた、のか。

ただ、飲み過ぎたにしては、アルコールが身体に残っているあのもやもやとした感じは無い。

 

 

私は、とりあえず、下に降りる事にした。

部屋のドアを開けると、右隣に同じようなドアが二つあった。

左手には、一階へと下りる階段がある。私は一歩一歩、確かめながら降りて行く。

階段を下りると廊下があり、左側には二階と同じようなドアが並んでいた。

右側には「リビング」と書かれた札が下げられた引き戸があったので、私はそこに入っていった。

 

リビングは、かなり広かった。中央に大きなテーブルが2つあって、いすが5つずつ、ぐるりと囲んでいる。壁際には本棚やギター、ピアノ、ソファ、ホワイトボードなんかもある。ソファの上では、一人の男の人が、座りながら文庫本を読んでいた。

二十代半ばくらいだろうか、男の人は、私が入ってきた事に気がついて、文庫本から私に目を向けた。私は、反射的にお辞儀をした。彼も、ちょこっとお辞儀風に首をたてに動かしたが、すぐ視線は文庫本に戻った。

 

彼からは邪魔をしてはいけないオーラが出ていたので、話しかけるのをやめ、いすに座った。しかし、座っても、何もする事が無い。私は、ちらりと、男の人が読んでいる小説に目をやった。

アンティゴネー」

と、いう本だった。

男の人は、本から目を外して私を見たので、目が合う形になってしまった。

私は「しまった」と、瞬間的に目をそらした。が、男は私を見たまま本をソファに置いた。

「タカシです、よろしく」

「あ、ユキ、です」

彼は何も言わない。しかし、ずっと私を見ている。私は気まずくなって

アンティゴネー」

と、本のタイトルを何となく、声に出してみた。

すると、彼は、

「知ってる?アンティゴネー」

と、身を乗り出してきた。

「あ、いや、背表紙に書いてあって」

「あー」

私がそう言うと、男の人は残念そうに、再びソファーの背もたれに身体を預けた。

「どんな本なんですか?」

古代ギリシャで書かれた、戯曲」

「どんな話?」

「詳しく話すと長くなるから、結末だけ言うと、アンティゴネーっていう女の人が、洞窟に閉じ込められて死んじゃう話」

「何も分からないんだけど」

「後で読んでみてよ」

タカシの雑な話では、全く読もうという気は起きなかったので、私はテキトーに頷いた。

「この家も、洞窟みたいなもんだよね」

「え?」

「行き先が無ければ、洞窟と同じ。ねえ、そう思ったら、僕らもアンティゴネーと同じじゃない?」

この状況も、アンティゴネーの話も全く理解していない私には何も答える事ができない。

タカシは、特に答えを求めている訳ではないようで、再び本を手に取り、ページに目を落としていた。

 

、、、

 

 

「大変!」

重苦しい空間を引き裂いて、小柄な女の子が玄関から飛び込んできた。

女の子は、二十歳前半くらいだろうか。目には涙を浮かべ、呼吸は上がり、明らかに狼狽していた。

「ユウキが消えちゃった」

女の子の言葉に、タカシは一瞬動揺したように見えた、が、すぐに平静を取り戻し女の子の方を見た。

「アカネさん、外にいるよ」

「なんで?」

「洗濯干すって」

「違うよ、何で、住人が消えたのに、そんなに普通の感じでいられるの?」

「仕方ないじゃん、そういうもんなんだから」

「もう、消えちゃったら二度と会えないんだよ」

女の子は詰め寄って抗議をしたが、タカシは動じなかった。

「アカネさん、外にいるよ」

女の子は一度タカシをにらんで、走って外へ出て行った。

 

「行方不明?」

「いや、存在そのものが消えちゃったんだ」

「え?」

「時々あるんだよね。ここでは」

「死ぬってこと?」

「同じ事だね」

私は、次の言葉が思い浮かばず、ただ、ぼんやりとタカシを見つめていた。

アンティゴネーは洞窟に閉じ込められて、死んだ」

タカシは、ぽつりとつぶやいた。

 

、、、

 

一体、ここはどこで、私はなんでこんなところにいるのだろう。

何も分からない。

ただ、少なくとも、ここは、「私みたいな人」が生活していて、人の存在が消えてしまう事が「そういうもん」として、捉えられているらしい。

 

これからどうすればいいのだろうか。

そんな事をぼんやりと突っ立って考えていると、外から歌が聞こえてきた。

それは、遠く遠く、この家の敷地の外から、微かだったけれど私の耳に入ってきた。

 

 

聞いたのは光と闇の調べ

ひたむきに生き急ぐ者たちよ

行く先も知らずに

 

 

その、透き通った声は、始まりの歌のようにも、終わりの歌のようにも聞こえた。

 

 

 

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佐伯佑佳/Yuka Saeki

北海道札幌市出身

7月1日誕生 O

 

中学時代からミュージカルの舞台に立ち、高校卒業後は養成所に通う傍ら、札幌でラジオパーソナリティーCMソングを歌う。

現在は東京都内を中心に、ボーカリスト、舞台役者、作詞作曲家、MCとして活動中。

 

ステージテーマは「歌と芝居のエンターテイメントshow」。

物語調のライブと、曲によって演じ分ける表現力が特徴のアクトレスシンガー。

Storyteller in art Vol.9「包まれて」with Ryohei

Storyteller in art 第9回は研究者の良平さんです。

 

Storyteller in artも第9回を迎えました。

これまで、様々な芸術家とコラボレーションして作品を作ってきました。

お陰さまで、たくさんの方にご覧いただいています。

 

「art」という言葉には、芸術という意味もありますが、技術、と言う意味もあります。そんなわけで、artの範囲を少し拡張します。

今回は、生物学の研究者である彼とコラボレーションをしてみました。

 

僕は、大学・大学院といわゆるバイオ関係の研究をしていました。と、いうこともあって、個人的にもバイオとアートのコラボというのはとても興味があります。まだまだ実験段階ですが、コラボレーションを舞台作品にもしたいなぁ、なんて思っていたりします。

 

彼は、私たちの身体をつくっている脂質の研究をしています。

その最新の論文からインスピレーションを受けて、物語を書きました。

研究の詳しい内容は、物語の末尾に【解説】をつけてありますので、どういう研究が、この物語になったのかを、より詳しく知りたい方は是非ご覧ください。

 

 

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静かな世界の気配に揺すられて、僕は目を醒ました。

意識は、粘度の高い世界をノロノロとたゆたっている。

温かな毛布の中にくるまっている身体をもぞもぞと動かす。僕は、身体が毛布の中で溶けていないことを確認した。

 

隣では、髪の長いよく知っている女の人が睡っている。

 

僕は立ち上がり、カーテンの隙間から外を覗き込む。

早朝、、、と、いうにはまだ早過ぎる。

(アノバショ、デ、アアイウコト、ガ、アッテ、ナンニン、ガ、シボウシマシタ)

 

僕はベッドの方に向き合った。

髪の長い女の人を、毛布越しに触れた。温かい。

多分、この女の人も、温かく感じているのだろう。

この、毛布に包まれて。

 

アパートの一室の小さな部屋。

新築のアパートの壁は綺麗だった。

僕は毛布から抜け出したけれど、まだ温かく感じるのは、この部屋のおかげだ。

部屋が、包んでいてくれるからだ。

僕たちは、常に、何かに包まれて、守られて、生きている。

 

(タクサンノ、ヒト、ガ、トオクノクニニ、イキマシタ)

 

僕は温かいカモミールティーを入れた。

彼女が買ってきたものだ。

優しい香りを感じながら、飲む。じわり。

あたたか、な、体温、僕の細胞一つ一つも、ふわり、包まれて生きていた。

 

僕は、暖まった身体で、もう一度、外を見た。

静かな夜。僕は、この部屋に包まれ、部屋はセカイに包まれていた。

この、セカイ、に。

(アノヒト、ガ、アノヒト、ニ、ササレル、ジケンガ、アリマシタ)

 

ほわり

、と、カモミールの息を吐く。

部屋の外のセカイでは、今もリアルタイムでたくさんのことが起こっている。

(テロジケン、ガ、アリマシタ、ワレワレ、ハ、ソレヲ、ケッシテユルサナイト)

夜、も、残念ながらニンゲンは生きているのでした。

部屋は静かだけれども、地球は回っている。

摩擦の音などたてながら。

 

「んー」

もぞもぞと、毛布に包まれた彼女が寝返りをうった。

毛布には、コーヒーのシミが二カ所ある。

彼女は、先週ベッドサイドでコーヒーをこぼしてしまった。

それ以来、決してベッドの上でコーヒーを飲むことはなくなった。

それでも、包んでいる毛布のシミが消えることは無い、の、だけれど。

(アノクニデノ、セントウ、ハ、ワガクニ、ト、アノクニ、ノ、レンゴウグン、ガ、ショウリシマシタ)

 

僕らを包むもの、は、全て、段々とダメージを受ける。

毛布もシミができるし、今は綺麗な部屋の壁もいつかはボロボロになる。

時間は、確実にダメージを蓄積させる。

それがある程度までたまると、急に、守ってくれるはずだったセカイは、異常をきたして、僕たちを破壊するのだ。

(トナリノケン、デ、クウシュウ、ガ、アリ、タクサンノ、ヒト、ガ、シボウ、シマシタ)

 

僕たちを包んでくれている、膜。毛布、部屋……セカイ。

コーヒーのシミや、部屋の汚れだったら、すぐに分かる、けれど、

セカイのダメージはどうやったら分かるのだろう。

僕を包む、セカイのダメージ、は。

(ショウリシタ、アノクニデノ、セントウ、デハ、サンジュウニン、ガ、シボウシタ、トノ、コトデス)

 

僕は、カモミールティーを飲み干して、ベッドに戻った。

ベッドの中、は、さっきまでの自分自身の温もりと、彼女の温もりがあった。

隣では、髪の長いよく知っている女の人が睡っていた。

 

彼女の頬に触れた。

僕の細胞が、彼女の細胞に、触れる。

 

細胞は、細胞膜、という膜で包まれている。

生物の授業で習った。

細胞膜に包まれた細胞は、温かいだろうか。

細胞膜も、この世界のようにダメージを受けることがあるならば、細胞はいつか破壊されてしまうのだろうか。彼女はいつか破壊されてしまうだろうか。僕はいつか破壊されてしまうだろうか。

 

僕たちを包んでくれている、膜。

コーヒーのシミや、部屋の汚れだったら、すぐに分かる、けれど、

彼女のダメージはどうやったら分かるのだろう。

僕を包む、彼女のダメージ、は。

 

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【解説】

 

私たちの細胞は、細胞膜、という膜に包まれて存在しています。

細胞膜の主な構成要素の一つに、リン脂質と呼ばれるものがあります。

リン脂質には、たくさんの種類が存在します。

このリン脂質は、生きている過程で、酸化されていきます。そうすると、動脈硬化や糖尿病、ガンなどの疾患を引き起こすことが、これまでの研究で明らかになっています。

酸化されたリン脂質はOxPLsと呼ばれています。たくさんの種類のリン脂質があることから想像できるように、OxPLsもたくさんの種類がありますが、その種類を特定する方法がありませんでした。よって、どの種類のOxPLsがどういう風に疾患を引き起こすか、ということは詳しくは分かっていません。

 

今回、インスピレーションを受けた青柳氏の研究は、そのリン脂質の種類を特定するための方法を作ることを目的としたものです。

これは、疾患とOxPLsの関係を明らかにするのに有効な方法となる可能性があります。

 

 

私たちの細胞一つ一つを包む細胞膜。それを構成するリン脂質は、生きているとダメージを受けます。それが、いつか病気を引き起こします。しかし、それがどのようにして起こるのか、ということはよくわかっていない。

私たちを包む世界が悲劇を引き起こすプロセスを、私たちが知らないように。

青柳氏は、そんな、ブラックボックスの一つを調べるための方法を、この論文で確立させたのでした。

 

論文のリンクです、英語版しかないのですが、ご興味のある方は是非。

http://hagiya4423.wixsite.com/mooncuproof/blank-10

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良平 / Ryohei

国立研究開発法人 理化学研究所 横浜事業所

統合生命医科学研究センター メタボローム研究チーム

リサーチアソシエイト

 

 

 

Storyteller in art Vol.8「つぼみの時間」with ainoa

Storyteller in art 第8回はアクセサリー作家のainoaさんです。

 

彼女のつくるドライフラワーや貝殻、小瓶のアクセサリーは、とても繊細で素敵です。

たとえ、慌ただしく過ぎ去る日々を過ごしていたとしても、時間をゆっくりにして、私たちの日常を豊かにしてくれる力が、このアクセサリーたちにはあります。

今回は、そんな、繊細なドライフラワーのアクセサリーにインスピレーションを受けて、物語を書きました。

 

 

 

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まぶたを透かして届いてくる朝の光に、私の意識は覚醒する。水底に沈んでいるクラゲが海面に上昇してくるように。

夢の世界の微弱な浮力は、ゆっくりと「私」を現実へと押し上げていく。そして、柔らかな境界を、私は越え、目を、開けた。

 

ワンルームの部屋、私はテーブルの上に突っ伏して眠っていた。

横には、500mlのハイボールの缶がおかれている。

部屋には倦怠が霧のように漂ってる。一瞬、私は霧に窒息しかけ、焦って呼吸の仕方を思い出す。

ハイボールの缶を持ち上げて軽く揺する。缶の中で揺れるのを感じる。半分以上が残っていた。

重い上体を起こして、伸びをした。

朝、6時。

昨日は、仕事が終わらないわ、それなのに新しい仕事を振られるわ、そのせいで行きたかった映画に行けなかったわで、散々な一日だった。

遅くに仕事を終え、私はそのイライラを清算するかのように、一人で会社近くのバーに行ってビールと赤ワインとマティーニ3杯を飲んだ。そして、酔っぱらって帰宅し、シャワーを浴びた。酔いとシャワーで熱くなった身体を醒ますために、冷蔵庫の冷気を求めて扉を開けたら、缶のハイボールを見つけた。それを寝酒のつもりで飲んでいたら、いつのまにか眠ってしまったらしい。

 

頭がガンガンする。さすがにマティーニ3杯は飲み過ぎだった。

私は立ち上がって、フラフラと窓辺に行き、ベーシュ色のカーテンをあけた。

雲一つない、澄んだ冬の朝。ガラスを透して、まっすぐに差し込んでくる昇りたての陽の光は、今の私には少し強すぎる。

深呼吸を一つ。私は今日も生きている。

ハイボールの缶を手に取り、自分の中の悪い堆積物を流しだすように、流しに捨てた。

しくしくと、ハイボールが、流れていく

 

空になった缶を捨て、目をこすりながら食器棚からホーローの黄色いポットを取り出し、水を入れて火にかけた。

そして、冷蔵庫からトマトとチーズとバジルを取り出す。

トマトをスライスし、バジルをちぎり、チーズと一緒に6枚切りの食パンに乗せ、仕上げにオリーブオイルをかける。パンに乗り切らなかったトマトは、そのまま直接食べた。

冷たさと酸味が、アルコールでふわふわした私の身体を説教した。

 

今日は休日だ。

朝6時。まだ眠っている人の方が多い、に、違いない。少なくとも、平日フルタイムで働いている人は。

「さて」

パンをオーブントースターに入れ、私は、もう一度深呼吸をした。

 

私は、これから、生き返るのだ。

 

 

「つぼみの時間」

早朝の時間を、おばあちゃんはそう呼んでいた。

 

おばあちゃんはもともと、私と両親とは離れて暮らしていたが、私が小さいときにおじいちゃんが死んでしまったのをきっかけに、持っていた家を売り払い、私と両親と住みはじめた。

祖母は必ず毎日、朝5時に起きた。

私と両親は、時々、祖母の活動する音に起こされる。母は時々文句言っていたが、私は、時々おばあちゃんと一緒に起きるのが好きだった。

おばあちゃんは、早朝のうちに朝食を作り、食べ、服を着替え、髪を整え、メイクをした。その動きは一つ一つの所作に無駄が無く、かつ、とても丁寧で、洗練されていた。どこにどれくらい時間をかけるのが最適か、ということを熟知していた。

その無駄の無い動きに、私は幼いながらに見とれていた。

おばあちゃんの凄いところは、これを欠かさず毎日するのだ。外に出たり、誰かに会う用事が無くても、必ず、時間をかけて、丁寧に早朝の時間を過ごす。

 

ある日の朝、私は、支度を終えて紅茶を飲んでいたおばあちゃんに聞いたことがある。

「おばあちゃん、どこにも行かないのに、着替えたり、お化粧したりするの?」

「当たり前よ」

「外に出ないのに?」

「これはね、誰かのためにやってるんじゃないの」

「じゃあ、何で?」

「きちんと毎日綺麗に咲くためよ」

「どういうこと?」

「花はなんで綺麗か知ってる?」

「知らない」

「つぼみのうちに、しっかり準備するからなのよ。つぼみのうちに、どんな風に咲こうかな、ってことを考えながら、おめかしするの。だから、綺麗に咲くことができるのよ」

「ふーん」

なんだかよくわからない、という顔をしていたであろう私に、おばあちゃんは言った。

「私たちはたくさん嫌なことを経験するわ。けどね、毎日生まれ変わるの。朝起きると、嫌なことがあった前の日の自分はもういなくなってて、新しい自分になる。だから、毎朝咲くチャンスがあるの。そのためには、朝、このつぼみの時間に、丁寧に時間をかけて、準備をしなきゃいけない」

「つぼみの時間」

「嫌なことがあったり、忙しいことがあったら、つぼみの時間を大切にしてごらん」

私は、ちょっとめんどくさいな、と、思った。

けれど、おばあちゃんはいつも素敵だった。

 

 

ポットの口から湯気が勢いよく出始めた。

私は、青色の陶器のマグカップと、コーヒーのドリッパーとフィルターを食器棚から取り出す。そして、フィルタをセットして、コーヒーの粉を入れて、お湯を注ぐ。

最初はお湯を少しだけ注ぐ。粉を湿らせて、ちょっとの間、蒸らすのだ。

私は目を閉じる。香ばしい香りを嗅ぎながら、呼吸の速度を下げる。

30秒。目を開ける。目に映るワンルームは、ほんの少しだけ、優しくなっていた。

優しい空間の中、残りのお湯をゆっくり注いでいく。フィルターをコーヒーが通っていく。

オーブンを開けると、トーストの上でチーズが美味しそうにとろけていた。

 

私は、コーヒーカップとトーストの乗ったお皿をテーブルに置いて、座った。

そこは、私が眠っていたテーブルとは違っていた。

 

朝食をとりながら、今日のことを考える。

ゆっくりと味覚を働かせていくうちに、頭が冴え渡ってくる。私の色が、戻ってくる。

倦怠の霧がすっかり晴れ、朝の日差しが差し込む部屋で、今日の咲き方を決める。

昨日の私では無い、新しい私の咲き方を。

 

お気に入りのニットを着て、時間をかけてスタイリングをして、メイクをする。

この間買ったベージュのチークを使おう。

そして……

 

私は、立ち上がり、鏡の前にある小さな引き出しを開けた。

そこには、ドライフラワーのアクセサリが入っている。

実家を出るときに祖母がくれたものだった。

かすみ草と、黄色・紫・薄紫のスターチスのイヤリング。

「あなたが綺麗に咲くための味方よ」と、おばあちゃんは言った。

私は、紫のスターチスのイヤリングをとった。

花言葉は「知識」。

今日は図書館にでも行こう。脳みそを、ゆっくり耕す、のだ。

 

私は、カップを手に取り、コーヒーを一口飲んだ。

開花まで、もう少し。

 

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ainoa

 

「ainoa」はフィンランドの言葉で「ひとつだけ」という意味です。

 

あなただけのひとつだけの大切なものになっていきますように。

 

物語を詰め込んだ小瓶のアクセサリーと花言葉を身に纏うドライフラワーのアクセサリーを創っています。

 

Web:  https://www.ainoa.online/

Instagram: ainoa117

 

Storyteller in art Vol.7「キレイなセカイが揺れる音」with TOW

Storyteller in art 第7回は、ミュージシャン、TOWのお二人です。

TOWは、ボーカル&アコーディオンのヌエさんと、ギターのカイさんからなるアコースティックユニットです。

最初にライブハウスでお二人の音楽を聴いたとき、一瞬にして空間をつくる、その演奏にガッツリ引き込まれました。mooncuproofの舞台「OVUM」の音楽を担当していただいたこともあります。

TOWの魅力は、一曲一曲にそれぞれある独特の世界観と、場をつくる演奏、そして、圧巻のパフォーマンス力。

 

今回インスピレーションをもらった「稲穂」は、日本神話に登場する神様、宇迦之御魂大神をモチーフに書いた曲で、ノスタルジーたっぷりの曲です。僕の地元の村には稲荷神社があるのですが、その風景を重ねながら、物語を書きました。

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「稲穂」動画 

theacousticguitarproject.com

 

 

 

たった一人の乗客を乗せた古いバスのドアが開き、喪服姿の私は実家の最寄りのバス停を降りた。

午後8時。村の最終バスは運転手だけを乗せ、次の停留所へ向かっていった。

 

半年ぶりの故郷だ。

目の前には稲刈りの終わった田んぼが広がっている。

稲穂の無い田んぼは、どこか寂しさが漂っていた。

東京の喧噪が嘘のようだなー、と、思いながら、私は家に帰るために畦道を歩き出した。

 

服と髪には焼香のときの香のにおいが染み付いていた。

 

 

交通事故だった。

東京の会社でその連絡を聞いた私は、その日の新幹線に乗って、急いで故郷の村に帰ってきた。

 

それにしても、人というものは、こんなに突然この世からいなくなってしまうものなのだろうか。

会社の社員旅行で撮ったらしい、写真のみかお姉ちゃんの表情は、とても活き活きとしていた。葬儀のときのうつろな目で涙を流している、みかお姉ちゃんのお母さんの存在だけが、お姉ちゃんの死を実感させた。

 

 

みかお姉ちゃんは、近所に住んでいた五歳上のお姉さんで、この村の高校を卒業して、この村で働いていた。お母さん同士が知り合いだったので、私は産まれたときからずっとみかお姉ちゃんと一緒にいた。

みかお姉ちゃんは何でも知っていた。

お母さんや先生に怒られて落ち込んだときに元気を出す方法も、好きな男の子をデートに誘う方法も、勉強のやり方も、授業をサボる方法も。

高校を卒業してこの村を出た後も、お盆と年末の帰省の度に必ずお姉ちゃんと会って、相談を聞いてもらっていた。お姉ちゃんの言葉は、いつも、未来を照らしてくれていた。今年も年末に帰省したときに、相談したいことがあった、のに。

 

 

ふと、私は、畦道に面した、鳥居の前で足を止めた。小さな石でできた鳥居だ。

鳥居をくぐるとすぐに本殿がある、小さな稲荷神社だった。

境内にはたくさんの高い杉の木が植えられていて、本殿の前には狐の像がある。

 

「ここのお狐様に触ったら、どこか遠いところに連れて行かれちゃうのよ」

私は、小さいころ近所の大人たちにそう言われてきた。

もの心ついたときからずっと言われ続けていたせいで、昔はこの狐の像が怖くて仕方なかった。何かを睨みつけているような目をした像と目を合わせると、その狐に急に体温が宿り、私を口にくわえて遠い遠いところに連れて行ってしまうのではないか。

小学校の帰り道、夕方に神社の前を通ると、そんな妄想に、よくおびえたものだった。

そんな神社も、お姉ちゃんと一緒にいるときは怖くなかった。お姉ちゃんと遊んだ帰りにこの前を通るときは、絶対に私の手を握っていてくれた。

「大丈夫よ、触らなきゃいいの」

 

中学生くらいになって、お姉ちゃんに相談する悩みが恋愛とか進路のこととかになってくると、その恐怖も消えていった。その頃、私たちはよく、神社の中で話すようになった。

狐はなんとなく不気味ではあったが、あまり気にならなくなった。

 

 

私は、ふわっと、鳥居をくぐった。

境内は、静かで、時々、木枯らしがさわさわと杉の木を揺らす。

本殿の前には相変わらず狐の像があって、不気味に世界を睨みつけていた。

 

お姉ちゃんは、狐を見たことがあった。

「あった」と、言っていた。

 

 

あの日、中学3年生の夏休みの夕方。仕事が休みのお姉ちゃんと、境内に座っていた。

ヒグラシの声、アイス、巨大な雲。

一通り話を終えた私たちは、田舎の夏を静かに呼吸し、ぼんやりと、目の前の風景を見ていた。

私が頭の片隅で、宿題の読書感想文のことをころころともて遊んでいたとき、お姉ちゃんは、突然歌を口ずさんだ。

 

一番星ひとつ

帰ろう帰ろう わらべうた

木枯らし駆けてゆく

冷えた道を 見つめる茜雲

 

「お姉ちゃん、何?その歌?」

「不思議な歌」

「どういうこと?」

「昔、私が小学5年生の頃、おばあちゃんが死んじゃったんだ。私、両親が共働きだから、ちっちゃい頃はいつもおばあちゃんと一緒にいたの。だから、おばあちゃんのいない世界って、どうなっちゃうんだろうって、ちょっと怖かった。それで、毎日一人でここで泣いてた時期があったの。そしたら、ある日、本殿の方から歌が聞こえてきた。不思議に思ってそこに行くと、二匹の着物を着た狐がいたの」

「え?」

「一匹の狐は歌ってて、もう一匹の狐は見たことのない不思議な楽器を弾いてた」

お姉ちゃんの口調はまじめで、私をからかっているような感じではなかった。

「私は連れてかれちゃうんじゃないかと思って、怖かったんだけど、音楽を聴いてると、不思議と恐怖が消えたの。とっても綺麗な曲だった」

「それで?」

「一曲終わると、二匹とも本殿の裏に消えちゃった」

「それ、お狐様?」

「かどうかはよくわからないけど。ほんとにほんとに綺麗な曲でさ、それを聞いた後に村の風景を見たら、ああ、こんなきれいな世界に生きてるんだ、って思った。おばあちゃんがいなくても、きっとこの世界は怖くない」

お姉ちゃんは杉の木の隙間から、目の前の畦道と、それに続く空を見ていた。

私もその視線を追った。

夕日を背景に、田んぼを埋め尽くす晩夏の稲穂。その風景は、綺麗というにはあまりにも見慣れすぎていた。それを見つめるお姉ちゃん、には、多分、違った風に見えているのだろう。

 

 

一番星ひとつ

帰ろう帰ろう わらべうた

私は、狐の像を見ながらその歌を口ずさんだ。お姉ちゃんからたった一度だけ聞かされた曲は、不思議とすらすら出てきた。

私の中には、まだ、おねえちゃんが、いた。

お姉ちゃんとの思い出に満ちた神社、畦道、村。

私は、私は、これから、誰に相談すればいいのだろうか。

 

狐の像は、昔と変わらずにそこにあった。

私は、像に触れる。

……もし、触って遠いところに連れて行ってくれるのならば、お姉ちゃんのいないこの世界から連れ出して欲しいと思った。

だから何度も、何度も、狐に触る。何度も、何度も。

けれど、狐は私をくわえてどこかへ行ってしまう、ということは決してしなかった。かつて、生きてるように感じた狐の像、は、冷たい石、だった。

こみ上げてくる感情のせいで、私の体だけが、熱くなる。

連れて行かれる、には、私は大人になりすぎてしまった。

過ぎた時間は戻らない。お姉ちゃんが、戻って来られない、ように。

 

 

と、そのとき、私の耳に、本殿の方から弦をはじく音が聞こえてきた。

私は、本殿の方を向く。

目の前には、2人組の着物を着た男女がいた。

女は長い髪をして立っていて、男はギターのようなものを持って座っていた。

別の世界のに住んでいるようにも見えたし、何百年もその場所に居続けているようにも見えた。

 

一番星ひとつ

帰ろう帰ろう わらべうた

 

境内に、弦と歌声が響く。

その音は、大気を、そして、心を澄み渡らせる音だった。

 

弓張月を待つ白い花

寒空の下 揺れてる

風の便りに耳を傾け

滲む空を 見上げた

 

私は、その言葉の一つ一つ、その音の一つ一つに包まれて、ただ、立ち尽くす。

 

 

最後の一音、が、鳴る。

私は、その音が鼓膜を震わせ続けられるように、目を閉じた。

 

、、、そして、静寂。

目を開けると、2人組はいなくなっていた。

 

 

澄んだ夜の空気は、弦と声の余韻を含んで、わずかに揺れている気がした。

私は、ふわり、と、田んぼの方を見た。所々に、オレンジ色の明かりが点在していた。

 

お狐様は、私を連れて行くことは無かった。

私は、ここに生きていた。

世界は、綺麗だった。

私は、涙が止まらなかった。

 

お姉ちゃんがもうこの世界にいないことを再認識したからなのか

お姉ちゃんが見た綺麗な世界が見えたからなのか

その世界で生きていかなければ行けない不安からなのか

よくわからないけれど。

 

 

風が杉の木を揺らす。

 

見上げた杉の木に囲まれた空は、涙で滲んでいた。

 

 

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【TOW】

唯一無二の歌声とアコーディオンを駆使するボーカリスト「ヌエ」と、叙情的に音を紡ぎだすギターリスト「カイ」による日本のアコースティックバンド。2014年結成。

独特で壮大な世界観と、日本らしい「和」の空気を持つ音楽を軸とする。

 

ライブペイントや書道、演劇とのコラボなどの他、メディア出演や劇伴曲提供など多彩な活動を展開する。

 

2018年、世界に日本文化の魅力を発信すべく、"神出鬼没"と言う神社の紹介動画をスタート。日本の誇るトップクリエイターチームと共に、全国の神社を巡る。

 

同時に本年は世界最大規模のバンドコンテスト"EMERGENZA"にエントリー。

来場者の挙手で決勝進出が決まる本大会にて「日本」の代表として世界大会で優勝するため、3月の準決勝へ全力を注いでいる。

なお予選は強豪バンドとの接戦の中、来場者の挙手に大きく後押しされ、投票数トップで通過した。

 

またヌエ、カイ共にゲーム好きな一面もあり、Youtubeにゲーム実況も投稿している。

 

 

【Live】

Emergenza Japan 準決勝

日程 2018/03/24 (土)

 

場所 渋谷 eggman

   https://goo.gl/maps/TSiSEHEPYEP2

 

料金 前売 2500円 (別途 1drink)

   当日 3000円 (別途 1drink)

 

時間 開場 17:00

   開演 17:20

   演奏開始 18:50

 

 

《TOW Official Website》

http://www.tow-music.com/

 

《TOW Youtube Channel》

https://youtube.com/channel/UCBrpstSB8bohd2MRq2sd2fA/

Storyteller in art Vol.6 "The story about 'o' " with Yukiko Nishino

Storyteller in art Vol.6

I was inspired by works of Yukiko Nishino, videographer.

She learnt experimental video in Massachusetts College of Art and Design.

Her works drive us to something fundamental.

 

I was inspired by the one of her works "Where I was born".

"Birth" is a passive thing for baby. When we are born, we can't choose anything and the world start forcibly. Once a life starts, we have to live in this unpredictable world.

 

Here, I wrote the story about "Birth and Absurdity"

 

Movie「Where I was born」 

https://vimeo.com/125531639

 

f:id:hagiya4423:20180105123127j:plain



 

The sound shook the air, and destroy our daily lives.

 

I still remembered the deafening sound.

The sound told us the fact that our town had become evacuation area.

The level of μrays had been over the safe level.

I had been ready for escaping someday because towns around us had already been polluted.

 

I could have not lived my town any more.

So, I had walked a long way to escape from μrays.

I had depended on someone's words and twitter, depend, on.

Walk, walk, walk…then I had taken refuge here.

There was nothing I could do about the pollution.

Escape, escape, escape,,,then,

In front of me, a white house.

 

I entered by a small entrance.

I checked the amount of μrays by a smartphone's app.

Here is a safe area.

I took a breath.

Wall, roof, everything is white.

We can't feel anything living from white, but here was warm, I didn't know why.

 

It is mysterious that being in something make me ease.

I closed my eyes and breathed slowly, and pushed out my anxiety.

 

oooooooooooooo

 

,,,I could hear the sound of wave slightly from far away.

As if it surrounded me.

Slightly, it made a sound outside.

It was like a unknown language which is spoken in a country far away.

I, hear, that,,.

 

The sound is like a lullaby, surrounding here, inside.

 

"I AM…"

 

No, I found this sound was different from the sound of wave. It was a voice.

The voice was meaning something against the sound of wave.

 

"I AM here.

I AM not being met by someone.

I AM in something like membrane.

I AM waiting for a door opening.

I AM listening to the sound "oooooooooo"

I AM not able to jump over time.

I AM not able to run at the speed of light.

I AM far from the exit.

I AM floating in 0.9% saline.

I AM moving forward.

I AM going only this direction.

I AM supposed to go out.

…I AM able to hear something outside.

…I AM listening to this.

I AM not able to here, but do."

 

I wondered where here is.

I looked around.

Only thing I can see is "white".

I found the entrance had vanished.

I had lost the only exit.

How can I be alive here?

Well…OK. It doesn't matter, here is not polluted.

I have enough time to think.

 

I lay down on the white floor, surrounded white walls, seeing a white roof.

 

oooooooo,,,

 

ooooooooooooo,,,

 

oooooooooooooooooo,,,

 

,,,,,,,,,,

 

 

"Hey, here is not safe anymore!"

I woke up because of this man's voice. He was grabbed me by the shoulders.

"Who are you?"

"It doesn't matter. Here is not safe anymore! Escape!"

 

I wondered how he came. There is no entrance here.

 

"Let's escape."

"What?"

"Here has already been polluted."

"Still safe, look"

I showed him the app.Reading hadn't change.

"I know, but, dangerous."

"Why do you think so?"

"My estimate, I use my original equation."

I didn't want him to disturb my peace.

"You don't have a basis." "My original equation told me." "What is 'original?'" "We can't believe anyone under such a situation ! We have to think with own brain." "So, I want to think with MY brain." "Here is dangerous." "But, the figure doesn't change."

 

…Oh.

 

I checked the app again.

The figure rises suddenly.

It was too sudden to believe.

…Really?

 

"What's up?"

"Here, look…"

"I told you! Here is going to became a dangerous area."

 

Oh, I am not allowed to have peaceful time, listen to the sound of wave, and lay down on the floor.

 

"Why don't you escape?"

"Where?"

"Below"

"Below?"

"Yes, below."

"You mean south?"

"Yes, probably."

"South is safe?"

"Probably."

"Probably?"

"At least, not polluted."

 

I hesitated to go to that direction, because...

"Hurry up! Here is going to be more polluted."

"But here is warm."

"What do you mean?"

"If the south is safe, I will go. But, there is a possibility the place I reach would be polluted, too, right?"

"Actually, there is a possibility."

"So, It is no use going out."

"But, you can't be here anymore!"

"But, what can I do, if the place I reach is polluted?"

"If so, you can escape."

"Then the pollution is following, then I escape, then following, then escape. What can I do? What should I do? I had reached here, why Do I have to escape again? Why? Why? Wh…."

 

Then, the sound, of, siren.

 

It stopped my flow of time.

 

The siren, announcing here being polluted.

The sound saying "You can't be here anymore."

"Hurry up! Do you want to die?"

"Where is a exit?"

This room had no exit.

"Here!"

The man pointed a wall. there was a small hole. I had no idea why but the hole appeared.

I couldn't realize it. The hole was so small. I guessed I couldn't even put my finger into it.

"Hurry!"

I look through the hole, but, outside is totally dark. I couldn't see my future.

 

"I AM here.

I AM not being met by someone.

I AM in something like membrane.

I AM waiting for a door opening.

I AM listening to the sound "oooooooooo"

I AM not able to jump over time.

I AM not able to run at the speed of light.

I AM far from the exit.

I AM floating in 0.9% saline.

I AM moving forward.

I AM going only this direction.

I AM supposed to go out.

…I AM able to hear something outside.

…I AM listening to this.

I AM not able to here, but do."

 

I heard the siren sounded

The sound shake the air, and destroy our daily lives.

But our lives never die.

Destroyed lives become new our daily lives.

I have to live in the lives.

 

I move to the exit.

I can't be here anymore.

I have to go outside.

I don't know what will happen outside but I have to because I'm alive.

 

So, I have to walk to

So, I have to go

 

Through a small hole.

Wherever the place I reach.

Even if the place is going to be polluted.

I made up my mind to cry loudly after I go out.

Because I surely exist.

 

 

"o"

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Yukiko Nishino

 

She learned videography  in university, then she leaned experimental movies in graduate school of Massachusetts College of Art and Design.

She is especially good shooting with super 8mm film and making time-lapse movie.

 

She often combine foods which shaped like bodies of women or paints with scenes of nature like sea or forest.

 

Web:https://ynishino4.wixsite.com/ringo

Storyteller in art Vol.6「『。』のものがたり」with ニシノユキコ

Storyteller in art 第6回は、映像作家のニシノユキコさんです。

アメリカのマサチューセッツ芸術大学で実験映像を学んだニシノさんの作品は、見ている人の意識を、根源的な「何か」に向かわせる力を持っています。

 

今回は、その作品の中の「Where I was born」という作品を取り上げさせていただきました。

「誕生する」ということは、産まれる本人にとっては究極的な受動です。個人の意志では何も選べずに、この世界での存在が、強制的にスタートする。一度スタートしてしまえば、何が起こるかわからない世界で「生きていかなければいけない」。笑ったり、泣いたりしながら、、、。

 

新年1発目は、そんなニシノさんの作品から、「誕生と不条理」というインスピレーションを受け、物語を書きました。

 

 

動画「Where I was born」 

https://vimeo.com/125531639

f:id:hagiya4423:20180105123127j:plain

 

 

 

サイレンの音は大気を震わせて、私の日常を破壊した。

 

 

耳をつんざくような音はまだ耳に残っている。

避難区域になってしまったことを告げるサイレン。

飛んでいるμ線の量が、ついに私の町でも基準値を超えてしまった。

周囲の町は既に汚染されていたから、いつかこうなるという覚悟はしていたのだけれども。

 

これ以上あの町にいることはできなくて、私は長い距離を、μ線から逃げるために歩いてきた。

「ここなら安全だ」という誰かの言葉を、twitterを、頼りに。歩いて、歩いて、ここに逃げ込んできた。

「汚染」は、私にはもうどうすることもできない。

逃げて、逃げて、逃げて、

私の目の前には 、 白い家。

 

小さな入り口から中に入った。ケータイのアプリでμ線の数値を確認する。

安全域だ。

私は一息つく。

壁も天井も床も、すべてが真っ白だった。

白、というのは、生命感の無い色だ。しかし、ここはなぜか温かかった。

 

 

何かの中にいると言うのは不思議なもので、なんとなく安心してしまう。

私は、目を閉じて、ゆっくりと呼吸し、不安を外に押し出した。

 

こおおおおおお

 

、、、波の音が外からかすかに聞こえてくる。

波の音、が、私を包み込むように。

わずかに、外で、鳴っていた。

それは、まるで、どこか遠い遠い国の言葉のようだった。

私は、それを、聞く。

まるで、子守唄のように、この、内側を、包む、その、音。

 

 

『ワタシ、は……』

 

 

いや、その音は、波の音と別の音だ。声だ。

波の音を背景に、その声、は、何かを、何かを、話していた。

 

『ワタシ、は、今、ここにいます。

 ワタシ、は、まだ誰にも会っていない。

 ワタシ、は、なんか膜みたいな物の中。

 ワタシ、は、ドアが開くのを待っている。

 ワタシ、は、こおおおおおおという音を聞いている。

 ワタシ、は、時間を飛び越える事ができない。

 ワタシ、は、光の速度で走る事はできない。

 ワタシ、は、出口まではすごく遠い。

 ワタシ、は、0.9%の塩水の中、で、たゆたう。

 ワタシ、は、なんとなく、進む。

 ワタシ、は、こっちに、だけ、行く。

 ワタシ、は、出て行かなければいけない。

 ……ワタシ、は、外で、何かが、聞こえる。

 ……ワタシ、は、それを、聞く。

 ワタシ、は、聞こえないけど、それを、聞く』

 

 

一体ここはどこなのだろう。

部屋をもう一度見回した。

私の視界に入るのは、白、だけ。

気づくと、入り口は消えていた。そして、他に外に出られる所はない。

ここで、私は、どうやって生きていけばいいのだろうか。

まあ、いいか。ここは「汚染」されていない場所だ。

時間をかけて、考えよう。

 

私は、白い壁に囲まれた白い床に横になって、白い天井を見る。

 

こおおおおお、、

 

こおおおおおおおおおおおお、、、

 

こおおおおおおおおおおおおおおおお、、、、

 

、、、、、

 

 

 

「ここはもうだめです!」

私は男の声に起こされた。男は切迫した感じで、私の肩をつかんでいる。

「誰ですか?」

「そんなことはこの際関係ない。もう、ここはだめです。逃げましょう」

 

わめき散らすその男は、入り口も無いのに、どこから入ってきたのだろう、か。

 

「逃げましょう」

「は?」

「ここはもう駄目です。μ線の汚染が、」

「まだ大丈夫ですけど。ほら」

私はアプリを見せる。数値はほとんど変わっていない。

「けど、多分、もう駄目です」

「なんで?」

「私の予想です。独自の方程式を使った」

、、、せっかく手に入れた平穏を、こんなふざけたやつに脅かされてたまるか。

「根拠はないじゃないですか」「だから独自の」「独自の、って何なんですか」「独自です。こうなったら誰も信用できないですからね。自分で考えるしかない」「じゃあ私も、自分で考えさせてください」「危険ですよ」「けど、数値はかわって無いじゃないですか」

 

、、、あ

 

私はアプリを確認した。数値は、急上昇していた。あの一瞬で。ありえないくらい。

まじで?

 

「どうしたんですか?」

「数値が、、、あがってる」

「ほら、ここもそのうち危険域になりますよ」

 

なんだ、私に平穏は許されないのか。波の音を聞きながら、ちょっと横になる時間も許されないのか。

 

「逃げましょう」

「逃げる、、、どこに?」

「下の方に」

「下?」

「下です」

「南のこと?」

「多分、そうです」

「そっちは安全なの?」

「多分」

「多分?」

「少なくとも、汚染はされてません」

 

私はそちらへ行くことを躊躇する。なぜなら、

「急ぎましょう、ここは、汚染がひどくなるだけです」

「けど、なんだか、ここが温かくて、」

「何言ってるんですか?」

「南のほうが永久に絶対に安全なら行くけれど、また汚染されるかもしれないじゃない、ね」

「そうかもしれない」

「なら、出て行っても意味が無い」

「けれど、ここにはもういられないんです」

「けれど、逃げた先が汚染されたら」

「そしたら、また逃げればいいんです」

「そしたらまた、汚染、が追いかけてくる。逃げて、逃げて、逃げて、それでも追いかけてくるかもしれない、そしたらどうするの?私はどうしたらいいの?逃げて、逃げて、逃げて、ここまできたのに、また、逃げて、逃げて、逃げなきゃいけないの?なんで?なんで?なん、、、」

 

と、サイレン、の、音、

 

、が、私の時間を一瞬、止めた。

 

サイレン。汚染を告げる音。

それは、「あなたはもはやここにいることはできないのだ」と、いう宣告を下す音。

「もうだめです。早く、死にたいんですか」

「どこから逃げるの?」

そうだ、この部屋には出口がない。

「ここです」

男が指差した先には、なぜか小さな穴が開いていた。けれども、それは、私の指すら入らないのではないか、というくらい小さな小さな穴だった。

「早く!」

私は小さな穴を覗き込んでみた。しかし、外側は、真っ暗だ。私の未来は何も見えない。それくらい、小さな穴だった。

 

 

『ワタシ、は、今、ここにいます。

 ワタシ、は、まだ誰にも会っていない。

 ワタシ、は、なんか膜みたいな物の中。

 ワタシ、は、ドアが開くのを待っている。

 ワタシ、は、こおおおおおおという音を聞いている。

 ワタシ、は、時間を飛び越える事ができない。

 ワタシ、は、光の速度で走る事はできない。

 ワタシ、は、出口まではすごく遠い。

 ワタシ、は、0.9%の塩水の中、で、たゆたう。

 ワタシ、は、なんとなく、進む。

 ワタシ、は、こっちに、だけ、行く。

 ワタシ、は、出て行かなければいけない。

 ……ワタシ、は、外で、何かが、聞こえる。

 ……ワタシ、は、それを、聞く。

 ワタシ、は、聞こえないけど、それを、聞く』

 

 

サイレンの音がなる。

サイレンの音は大気を震わせて、私たちの日常を、破壊していく。

けれども、私たちの日常は死ぬことは無くて、

破壊された日常が日常になる。

私は、その、日常を生きていかなくてはいけない。

 

私は出口に向かう。

これ以上この場所にいることはできないから。

外に出なければいけない。

外で何があるかはわからないけれど。

私は生きているのだから、

 

だから、私は、歩かなければいけない。

だから、私は、出て行かなければいけない。

 

小さな穴、から。

そうだ、ここを出たら、思い切り泣いてやろう。大きな声で。

たとえどんな場所であろうとも、いつかμ線に汚染される場所であろうと。

私は、確かに、存在する、のだから。

 

 

「。」

 

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ニシノユキコ/Yukiko Nishino

 

大阪芸術大学映像学科で映画制作を学んだ後、マサチューセッツ芸術大学大学院にて実験映像を中心に学ぶ。

 

8mmフィルム撮影、コマ撮りなどを得意とし、女性の体をモチーフにした食品や絵の具などの映像を海や森の自然風景と合成させた作品が多い

 

Web:https://ynishino4.wixsite.com/ringo

 

Storyteller in art Vol.5「3.1415926535...」with Miru Omori

「Storyteller in art Vol.5」

I was inspired by works of Miru Omori, colored-pencil-artist.

She works in a lot of fields actively. She paints illustrations, makes picture books, does workshops, and does works related with share houses.

Her works are so warm. I like its colors and lines.

 

I had decided to write a realistic story on her warm illustrations.

 

f:id:hagiya4423:20171231113112p:plain



 

"Circular constant"

 

I don't know what.

 

I walk alone, after winter session of a cramming school.

It was already 9pm. The TV show I had wanted to watch had already finished.

But, I was hurrying to go home, because it was so cold.

 

"If you don't understand the "circular constant" correctly, you can't solve questions of circle in math." The teacher had said to me.

But, I can't t understand, completely. So, I couldn't solve the questions, and I had got scolding from a teacher. I had tried, but,finally, I couldn't still understand.

 

There are a lot of things I can't understand in the world.

 

I am still a 5 grade student. Why must I go to a cramming school to study?

Anyway, The winter session will finish tomorrow.

 

I could see a lot of warm lights through the windows of houses around me.

 

The lights were so warm…

 

So warm

 

So…

 

Cold

 

 

In my house, It was so cold and dark as usual.

I turned on the light of the living room and air conditioner.

An empty room was so cold.

"The is pasta in freezer. Use the microwave." a memo said. It was my dinner.

My mother works so hard till late everyday.

She used to be at home, but, before I had entered school, after her divorce, she had always been working.

 

I ate the pasta in the silent room.

Probably, I could go nowhere because my mother has work till 30th

 

I thought it was not fine, the I thought this thought was not fine itself.

 

After the dinner, I brought a big ladder from a shed.

I would go to a secret place.

The length of the ladder is three meters when I extend.

If I lean against the wall of the house, I can go its roof.

My mother would come home late today, so, I climbed to the roof secretly.

 

Being on the roof, I could see a lot of other roofs in front of me.

Under them, there are a lot of warm lights through a lot of windows.

There were a lot of families in these lights, and spending their happy winter vacations.

I feel my heart grasped.

 

There was the round moon in the sky.

It was beautiful.

"Circular constant" of the moon is correct, I thought.

 

 

 

I tried to reach the round moon.

A little more, little more…

I, tried, to, reach,

I, tried, to reach, and, touch, then

 

 

I grasped.

 

 

Oh…?

 

 

 

"What's the matter with you?"

In front of me, there is a yellow sphere, which was as tall as me.

It had a face, arms, and legs.

And, it has a hollow in its face. I don't know why.

"You called me?"

It looked a little bothered.

"What do you mean?"

"I feel me grasped and being pulled down from the sky. You did?"

"The sky?"

"Yes, I was there."

The place he pointed was the place I had looked at the moon just before.

 

"Huh?"

 

The moon had vanished.

It's wired. The sky was clear.

 

"I was so surprised. I had thought I could watch the Earth without any shadow on my face."

Really? Is this the moon?

"Do you have something to ask me?

"Well, no it's not intentional."

"Oh, really?"

The moon sit on the roof of the next house.

I faced to the moon, so wired it is.

"Are you the moon?"

All words I could say was such a stupid words.

"Yes"

"But, the moon is not so small."

"Am I ? But, I am me. Size is not the matter."

"The moon is in the space."

"You pulled me down from the space. And here is the space."

"No, the Earth."

"Earth is also in the space."

 

I couldn't totally understand.

 

 

I cautiously touched the moon.

It was not so rough as I had thought, and it was warm.

It made my heart warm. It was mysterious.

"Huh, the moon is like this."

"How is like?"

"Well…like this."

"I'm caring how I look."

"Are you caring such a thing?"

"Of course."

"Why do you have a hollow here?"

"Ah, it's natural."

It said with embarrassment.

I've never heard that the moon has a hollow.

 

"If you have a hollow, the full moon is not round." I said.

"I'm hiding my hollow not to be watched from the Earth. I mind being watched my non-round shape.

"It's not embarrassing."

"It's embarrassing."

"I don't think so."

"Huh"

"Well, being the moon is not easy."

"Yes, but everyone is so."

"What?"

"Everyone has a hollow. As I look down at the Earth, I can see everyone has something like a hollow."

"Have something like a hollow…"

"Right."

 

I looked a lot of warm lights under a lot of roofs, again.

 

"Hey, may I go back?"

"Why?"

"If I don't go back soon, people will be confused."

"Right."

"See you"

"Ah…"

Suddenly, he vanished. And went back to the sky.

It was too sudden. All I could do was giving a blank look.

 

I could seen a beautiful full moon.

 

 

The next day, The last day of the winter session.

I came back to a cold house as usual

I  microwaved my dinner I bought a convenience store and ate it.

 

Everyone has something like a hollow.

 

In this morning, I hadn't watched any news saying"The moon had vanished."

What is the thing happened yesterday?

 

The moon was round.

It was not a full moon any more, so, it was not exactly round, but I couldn't see any hollow.

I thought of a hollow we can't observe.

 

There are a lot of things I can't understand in the world.

 

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Miru Omori

Colored-pencil-artist

 

She has painted since she was child.

She did workshops and made picture books as research for art education in university.

 

From, March 2018, she will start "Canvas", a share house project of supporting of development for artists.

 

Webhttp://mille.strikingly.com/